- こんな場合の歯ぐきからの出血は
要注意! - 歯ぐきから血が出る原因と
考えられる病気 - 歯ぐきから血が出る・出血が
止まらない時の対処法 - 歯周病発症の原因
- 歯周病になりやすい人となりにくい人
- 歯ぐきからの出血を治す方法
こんな場合の歯ぐきからの
出血は要注意!
歯ぐきからの出血は、比較的よくある症状です。
ただ、よくあるからといって問題ないわけではありません。特に以下のような歯ぐきの出血が見られる場合、歯周病などを疑い、お早めに当院にご相談ください。

- 歯磨きによって頻繁に出血する
- 何もしていないのに出血する
- ときどき口の中で血の味がする
- 歯茎から出た血が生臭い
- 寝ているあいだに出血する、起床時に出血している
- 妊娠中に歯ぐきから出血した
歯ぐきから血が出る原因と
考えられる病気
よく見られる原因についてご紹介します。
歯周病
歯ぐきからの出血の原因疾患として、もっとも多いのが歯周病です。
放置していると、炎症が顎の骨にまで広がり、歯のグラつき、そして最悪の場合には脱落に至ります。
歯肉炎
炎症が歯肉に留まっている、比較的軽い歯周病です。
歯ぐきの腫れ、出血などの症状が見られます。
歯周炎
炎症が歯根膜(歯の根を覆う膜)、顎の骨にまで広がっている、中等度~重度の歯周病です。
歯ぐきの腫れや出血に加えて、歯ぐきの退縮やムズムズ感、口臭、膿が出る、歯のグラつきなどの症状を伴います。放置していると最終的には、歯が脱落します。
過度な歯みがき
(ブラッシング)
強い力で歯を磨くと、歯ぐきが傷つき、出血します。また、硬い歯ブラシほど刺激が強く、出血も起こりやすくなります。歯ブラシは鉛筆持ち、または2本の指で持ち、力を入れ過ぎないようにしましょう。
服用中のお薬
一部の薬剤では、その副作用として歯ぐきの腫れ・出血を起こす(薬物性歯肉増殖)ことがあります。
服用中のお薬がございましたら、お申し出ください。お薬手帳をお持ちいただくとスムーズです。
ストレスや過労
大きなストレスを抱えている、疲労が溜まっている時には、歯茎の腫れや出血が起こりやすくなります。
十分に心身を休め、それでも改善しない場合には歯周病など他の原因を疑う必要があります。
歯ぐきから血が出る・出血が止まらない時の対処法
どうして歯肉から血が出るの?
ブラッシングで血が出るのは、主に歯肉に炎症があるためです。
歯と歯茎の境目(歯周ポケット)に細菌を含んだ歯垢が溜まると、自分の体を守るために手細血管が広がり白血球が集まってきます。
細くて弱い血管なので歯ブラシの刺激で簡単に破れて出血します。
歯ぐきからの出血の危険性
歯周病の原因である細菌の必須栄養素は、血液中の赤血球ヘモグロビンのへミン鉄とタンパク質なのです。
歯科医院での
歯のクリーニング
自宅での歯磨きではプラークは落とせますが、プラークが石灰化した歯石は落とせません。
歯石は、歯科医院でのクリーニングで除去します。歯ブラシで出血がある場合、おそらくクリーニングでも出血がありますが、丁寧なブラッシングとクリーニングを継続していくことで、改善が期待できます。
細菌を多く含む「プラーク」、そのプラークが付着しやすい「歯石」の両方を減らすことが大切です。
歯周病発症の原因
(レッドコンプレックスと言われる歯周病菌の存在)
歯周病は、歯周病原性の高い菌種(レッドコンプレックス)の存在が主な原因です。
また歯垢が溜まり、膜のような状態になり歯ブラシだけでは除去できない状態をバイオフィルムといいます。このバイオフィルムの高病原化つまり数多くの細胞の排泄物を栄養素相互作用や、ポケット内血液からのタンパク質供給、鉄分供給、ポケット内の嫌分化(無酸素状態)と免疫力低下、唾液抗菌因子の低下のバランスが崩れた時に歯周病は発生します。
つまり、細菌に供給される栄養素を断つことが歯周病の原因を除去することとなります。
歯周病になりやすい人となりにくい人
歯周病は、単一の原因ではなく、いくつかの要因が重なることで発症リスクが高まる病気です。以下にて歯周病になりやすい人の特徴をご紹介いたします。
特徴を知ることで、予防に繋げていきましょう。
日々の歯磨きを怠る
歯磨きを怠ると歯垢が口腔内に蓄積し、細菌が増殖します。この細菌が歯茎に炎症を引き起こし、初期段階の歯周病である「歯肉炎」へと進行します。
歯磨きが不十分
歯磨きの頻度が十分でも、正しいブラッシング方法でない場合、歯垢が残ります。歯垢は細菌の温床となり、歯周病のリスクを高めます。プロの指導を受けた適切な歯磨きが重要です。
歯並びや噛み合わせが悪い
歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい箇所が生じ、歯垢を落としきれない場合があります。また、口呼吸の習慣があると口腔内が乾燥し、唾液の自浄作用が低下します。さらに、噛み合わせが悪い場合は特定の歯や歯茎に負担が集中し、炎症を引き起こす可能性があります。
喫煙習慣がある
喫煙は歯周病リスクを大幅に高めます。統計では、1日10本以上の喫煙で歯周病のリスクが約5.4倍になるとされています。喫煙による免疫力低下や歯茎の血流悪化は、歯周病菌の増殖を助長します。
遺伝による影響
歯周病は、遺伝が大きく関わる病気の一つです。正確には、歯周病そのものが遺伝するのではなく、「歯周病になりやすい体質」が遺伝する可能性が高いと考えられています。また、糖尿病や白血病など、遺伝的な病気を持っている人も、歯周病のリスクが高まります。これらの病気は、体の抵抗力を弱め、歯周病菌が繁殖しやすい環境を作り出すことがあるからです。
そのため、ご両親のいずれかが重度の歯周病(歯槽膿漏)を経験している、もしくは糖尿病を患っている場合は、あなたも歯周病になりやすい体質を受け継いでいる可能性があるため、日頃から予防や早期発見に努めることが大切です。
歯ぐきからの出血を治す方法
歯周病治療
歯周病を原因とする場合には、歯周病治療をきちんと行うことで、出血を改善することができます。
セルフケア指導と、スケーリング・ルートプレーニングを組み合わせた歯周基本治療が中心です。必要に応じて、フラップオペなどの歯周外科治療も行います。
当院ではその他、薬剤を用いた内科的な歯周病治療、3DSといった自費の歯周病治療にも対応しております。
ブラッシング方法の見直し
歯周病ではなく、単にブラッシングが強いために起こる歯ぐきの出血については、ブラッシング方法を見直すことで改善が期待できます。
正しい磨き方、歯ブラシの選び方など、当院の歯科衛生士が指導させていただきますので、ご安心ください。
生活習慣の改善
ストレスや過労が原因と思われる場合、まずはしっかりと心身を休めてください。
規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動も、歯茎の健康を保つために大切なことです。
また喫煙をしている方は、歯周病予防のためにも禁煙をしましょう。